白目の膨らみ

白目の表面を覆っている粘膜のことを結膜といいます。

この結膜が膨らんだり、盛り上ったりする原因にはどのようなものがあるのでしょうか?

急に白目が膨らんだのであれば、それはおそらく結膜浮腫けつまくふしゅでしょう。その他にもさまざまなものがあります。

ここでは眼科外来でよく遭遇する以下の病気について見ていきます。

結膜浮腫けつまくふしゅ

何らかの原因で結膜に水がたまって浮腫(むくみ)を起こし、水ぶくれのようにブヨブヨと腫れた状態を結膜浮腫といいます。

程度はさまざまで、白目の一部が少し盛り上がるだけものから、白目全体がゼリー状に盛り上がり瞼を閉じることができなくなるものまであります。

まるで目玉が飛び出してきたように見えることもあるので、びっくりして慌てて眼科に駆け込む方もおられますが、ほとんどの場合は心配ありません。

1.原因

結膜浮腫の原因の多くはアレルギー反応で、アレルギー性結膜炎の患者さんにみられます。アレルギーの原因として多いのは花粉と、ダニ、ほこりなどのハウスダストです。

強い結膜浮腫は急性のアレルギー性結膜炎で、目を触ったり擦ったりといった機械的な刺激や、動物や植物との接触などで急に起こります。

よくあるのは、お子さんが目をかゆがりゴシゴシと擦った後に、急に白目がブヨブヨになって飛び出てきた、というようなエピソードです。

ただし、細菌、ウイルスによる結膜炎や眼窩蜂窩織炎がんかほうかしきえんなどでも起こることがあります。痛みや強い充血、目やになどを伴う場合は眼科を受診しましょう。中でも眼窩蜂窩織炎は緊急性の高い病気ですから、注意が必要です。

2.治療

機械的な刺激で急に起きた場合は、時間がたつと徐々に浮腫は減っていきます。通常は数時間で自然に治まります。目を触ったり擦ったりしないようにしましょう。

浮腫を早く引かせるために炎症を抑える点眼薬を使用することもあります。

>>他の症状が気になる方はこちら

結膜嚢腫けつまくのうしゅ嚢胞のうほう

結膜に袋状に液体が貯まり、白目の一部がぷくっとゼリー状に盛り上がります。良性腫瘍りょうせいしゅようの一つです。

小さなものでは特に症状はありませんが、大きくなると異物感が出てきます。炎症を起こして充血することがあるので、その際に初めて気が付くこともあります。

1.原因

結膜のリンパ管が詰まったり、結膜の表面の組織や細胞が結膜の中に入り込んだりすることで生じます。外傷や目の手術後に多くみられますが、特に誘因なくできることもあります。

嚢腫の中には粘液やリンパ液が貯留しています。

2.治療

目のゴロゴロや見た目が気になる場合は、細い針で嚢腫を刺して貯まっている液体を排出する処置を行うことがあります。ただし、針で刺すだけだと結膜にできた袋は残ったままになるので、多くの場合しばらくすると再発します。

再発しないように治療するには手術が有効です。結膜の表面を切り開き、嚢腫を丸ごと取り出します。嚢腫を取り出さず、切開して広げるだけの方法もあります。

結膜嚢腫は良性の腫瘍なので、症状がなく見た目も気にならない場合は放っておいてもかまいません。しかし非常にまれですが、結膜嚢腫によく似た悪性の腫瘍もあるので、一度眼科を受診することをおすすめします。

>>他の症状が気になる方はこちら

瞼裂斑けんれつはん

黒目(角膜かくまく)のすぐ真横の結膜が一部だけ小さく盛り上がっていることがあります。これは結膜に生じる結節性隆起けっせつせいりゅうきで、瞼裂斑といいます。その部分だけ少し黄色くなり、斑点のように見えることもあります。鼻側にできることが多いのですが、耳側や両側にできることもあります。

通常は特に症状はありませんが、大きく盛り上がった場合はまばたきの度にまぶたで擦れるので異物感が生じます。

また瞼裂斑はしばしば炎症を起こし充血します。これを瞼裂斑炎といいます。

1.原因

瞼裂斑の原因としては、紫外線、ハードコンタクトレンズによる物理的な刺激、乾燥などが考えられています。加齢とともにできてくることもあります。

2.治療

瞼裂斑は悪いものではないので放置しておいてかまいません。一般的にはあまり行われませんが、よほど症状が強い場合は手術で切除することもできます。

瞼裂斑炎の治療には、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)や低濃度のステロイド薬の点眼が用いられます。

>>他の症状が気になる方はこちら

翼状片よくじょうへん

瞼裂斑に似た病気に翼状片というものがあります。瞼裂斑と同様にしばしば充血を起こしますが、翼状片の場合は結膜の組織が角膜に三角形をなして徐々に侵入していきます。ほとんどが鼻側から起こります。瞼裂斑が翼状片へと進行することもあるようです。

1.原因

翼状片のはっきりとした原因は不明ですが、紫外線や慢性的な刺激が関係していると考えられています。

また、目の怪我や角膜潰瘍の後に翼状片と似た状態になる偽翼状片ぎよくじょうへんというものもあります。症状や治療は翼状片と同様です。

2.治療

小さな翼状片は放っておいてもかまいませんが、角膜に大きく侵入した翼状片は乱視を起こし、さらに進行すると視力低下や眼球運動障害を起こすので、このような症状を起こす前に治療しなければなりません。

翼状片の治療法は手術ですが、手術後に再発を起こしやすいことが知られています。特に若い人では再発率が高くなります。

>>他の症状が気になる方はこちら

TOP