目がごろごろする原因は?よくある病気とは

目がごろごろする。誰もが一度は感じたことのある症状ではないでしょうか?

人によって感覚の表し方は様々ですが、ここでは「異物感いぶつかん」と表現して解説していきます。

目の表面、特に黒目(角膜かくまく)の表面には非常に繊細な神経が走っています。この神経は三叉神経さんさしんけいといわれるもので、12対ある脳神経のうちの第5脳神経です。三叉というのはこの神経が脳内で眼神経がんしんけい上顎神経じょうがくしんけい下顎神経かがくしんけいの3本に分かれることに由来しています。

この三叉神経は先ほど述べたように非常に繊細なので、三叉神経を刺激してしまうすべてのものが異物感の原因になりえます。

ここでは眼科外来でよく遭遇する以下の病気について見ていきます。

ドライアイ

ドライアイは涙液減少型と蒸発亢進型に大きく分けられます。つまり涙の量が少ない人と、涙の量は正常でも涙の蒸発がとても早い人がいるということです。もちろんこの両方の混合型の方もいます。

ドライアイになると目の表面が凸凹になってしまいます。この凸凹がとても大事です。

さて、人は1日何回くらいまばたきをするかご存知でしょうか?

約1万回と言われています。ドライアイの患者さんでは1日1万回もまぶたが凸凹した目の表面を往復することになります。そうすると目の表面の神経である三叉神経が常に刺激されて、異物感を引き起こします。またドライアイでは角膜表面の細胞間結合も障害され、これも異物感の原因の1つになります。

1.原因

涙の大部分は目の外側斜め上にある涙腺という組織で作られ、まばたきによって目の表面に広がっていきます。この涙の量が減少したり、涙の質が悪くなって蒸発しやすくなったりすることでドライアイになります。

加齢やシェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群などの病気だけでなく、乾燥した環境やコンタクトレンズ装用、スマートフォンやパソコンの使用も原因になります。また最近ではLASIKを受けた後に一時的にドライアイになることも知られています。

2.治療

ドライアイの治療は目薬の使用が中心になります。主に使用されるのは、ヒアルロン酸ナトリウムを含む点眼薬と人工涙液です。ヒアルロン酸ナトリウム製剤で目の表面を保護、保湿し、人工涙液で不足した涙を補います。近年ではその他に、ムチンや水分の分泌を促進する点眼薬(ジクアホソルナトリウム)、ムチンを産生する点眼薬(レパミピド)も用いられています。

点眼薬以外では涙点プラグという治療があります。特に点眼薬で効果が不十分な場合や、重症のドライアイの患者さんに行われています。涙の出口である涙点に涙点プラグと呼ばれるシリコンの栓をして、目に涙を溜める方法です。プラグは簡単に挿入でき、外すこともできます。涙点にコラーゲンを注入して塞ぐ方法もありますが効果は一時的です。

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異物いぶつ

目にゴミが入った、というのはとても多い訴えの一つです。これを結膜異物といいます。

目に何か異物が入るとそれが刺激になって、異物感やチクチクするといった症状が起こります。

注意が必要なのは、作業中や工事現場などで異物が目に勢いよく入った場合です。角膜に突き刺さって、めり込んでしまいます。これは角膜異物といいます。放っておくと細菌感染を起こすことがあるので、すぐに除去しなければなりません。

異物感からは話がそれてしまいますが、酸性やアルカリ性の液体が目に入ったときは緊急な対応が必要になります。できるだけ早く水で目を洗いましょう。水道水でよいので流しっぱなしにして洗ってください。少なくとも10分は流水で洗い、速やかに眼科を受診しましょう。

1.原因

結膜異物の原因となるものはさまざまです。抜けたまつ毛や砂、洋服の線維、洗顔料のスクラブなどがよく見かける異物です。

角膜異物は金属を加工している作業場で起こることが多いようです。

金属加工やアルカリ溶液などで作業をする方は必ずゴーグルなどを着けて自分の目を守るようにして下さい。

2.治療

通常は目を水で流すとすぐに取れますが、まぶたの裏に入ってしまうとやっかいで、自分ではなかなかとることができません。眼科を受診しましょう。

角膜異物の除去は眼科でしかできません。鉄片が刺さってしまうことが多いので、時間がたつと角膜が錆付いてしまい、治療が難しくなります。また細菌感染を起こすこともしばしばです。運悪く瞳孔上に生じた場合は、治療をしても角膜に濁りが生じ、半永久的に視力が落ちてしまうこともあります。異物が入ったら放置せず、できるだけ早く眼科を受診しましょう。

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さかまつさかさまつ

逆まつ毛(さかまつげ)、逆さまつ毛(さかさまつげ)と一般にいわれているものにはいくつかの種類があります。

まつ毛が目に表面に当たることで異物感の原因になり、ひどい場合は角膜を傷つけてしまいます。

1.睫毛乱世しょうもうらんせい睫毛重生しょうもうじゅうせい

睫毛乱生では内側に向かって生えるまつ毛があり、目の表面に当たってしまいます。1本だけのこともあれば、何本もみられることもあります。

正常なまつ毛の並びの内側にもまつ毛が生えることがあり、睫毛重生といいます。目に近い所から生えているので、目の表面に当たりやすくなります。

まつ毛を抜くことで一時的に症状は無くなりますが、またまつ毛は生えてくるので根本的な治療にはなりません。根治するために睫毛電気分解や冷凍凝固、光凝固を行い、毛根を壊してしまうことがあります。

2.眼瞼内反がんけんないはん

まぶたの縁が内側を向いている状態です。まつ毛が目の表面に当たりやすくなります。

乳幼児にみられる先天性のものは、多くの場合は成長とともに自然に治ります。治らないときには、まぶたが外側を向くように手術を行うことがあります。

高齢者にみられる加齢性のものは下まぶたに多く起こります。初めは指で抑えると内側に向いてしまったまぶたを元に戻すことができますが、次第に戻らなくなります。手術で治すことができます。

3.睫毛内反しょうもうないはん

乳幼児ではまつ毛が内側に向かって生えていることがあり、特に鼻側にみられます。

目の表面を刺激するので、まばたきが多くなることがあります。

通常は成長とともに治っていきます。

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結膜結石けつまくけっせき

まぶたの裏に白いものができることがあります。これは結膜結石といわれるものです。通常は埋まっていて無症状ですが、飛び出してくると目の表面に当たり、異物感を起こします。

1.原因

原因ははっきりしていません。結膜にある細胞の分泌物が変性したものではないかといわれています。

2.治療

埋まっている結石は放っておいてかまいません。露出して異物感があったり、角膜を傷つけたりしている場合は除去します。比較的簡単にとることができます。

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アレルギー性結膜炎せいけつまくえん

アレルゲンと呼ばれるアレルギーを引き起こす様々な物質によって引き起こされる免疫反応で生じます。一般的な花粉症で起こる目の炎症はこのアレルギー性結膜炎です。症状としては目のかゆみや充血、目やに、異物感がみられます。目やにの性状はさらさらしています。

1.原因

免疫反応の原因となる物質(抗原)のことをアレルゲンと呼びます。

ダニ・ほこりなどのハウスダスト、スギ・ヒノキなどの花粉が代表的ですが、自分の体のものではないものはすべてアレルゲンになりえます。

自分が何に対するアレルギーを持っているかは病院やクリニックで行っている血液検査で分かります。症状のある方は受診しましょう。

2.治療

アレルゲンになっている物質との接触をできるだけ避けることと、抗アレルギー点眼薬による治療が大切です。重症例ではステロイドや免疫抑制剤の点眼による治療が必要になります。

アレルゲンをできるだけ避けることはアレルギー対策の基本です。まずは自分がどのようなアレルゲンに反応しているのか知り対策を立てましょう。

しかし原因が分かっても、ハウスダストや花粉などの場合は完全に避けることはできないので、アレルギー反応に対しては対症療法を行うのが一般的です。

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巨大乳頭結膜炎きょだいにゅうとうけつまくえん

最近はコンタクトレンズを使用する方が増えてきました。巨大乳頭結膜炎は、コンタクトレンズ(特に2weekソフトコンタクトレンズ)などの機械的刺激により上まぶたの裏側に隆起性病変りゅうきせいびょうへんができる病気です。目の異物感、コンタクトレンズのずれ、かゆみなどの症状が特徴的です。

1.原因

コンタクトレンズ(特に2weekソフトコンタクトレンズ)や義眼などの機械的刺激が原因になります。

2.治療

治療はアレルギー性結膜炎と同じです。

抗アレルギー点眼薬による治療と、重症例に対してはステロイドや免疫抑制剤の点眼による治療が必要になります。

コンタクトレンズ装用者はコンタクトを中止しましょう。

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流行性角結膜炎りゅうこうせいかくけつまくえん

アデノウイルスによる結膜炎で目やにや涙を介して人から感染します。潜伏期間せんぷくきかんは1~2週間程度で、充血や目やに、異物感で急に発症し、流涙りゅうるい眼瞼がんけん浮腫ふしゅ耳前じぜんリンパ節の腫脹しゅちょうを伴います。充血と目やにが主な症状ですが、初期には異物感を訴えて受診される方もいます。感染力が非常に強いので両眼に感染しやすく、また周りの人にどんどん移っていきます。治るまでは学校に登校したり、人と接する職場や衛生的な環境を必要とする職場で仕事をしたりしてはいけません。

1.原因

アデノウイルスの感染によります。患者の目やにや涙からの接触感染です。アデノウイルスを検出する診断キットで陽性反応が出ると確定診断となりますが、感度は70%程度と言われており陰性でも安心はできません。

2.治療

アデノウイルスに有効な薬剤はありません。対症療法として抗炎症剤と抗菌薬の点眼を行います。抗菌薬はウイルスには効きませんが、細菌との混合感染を防ぐために行います。抗炎症薬は、特に角膜まで炎症が及んだ場合には視力障害を起こすことがあるので積極的に使用します。多くの場合、流行性角結膜炎は2週間前後で治ります。

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結膜弛緩症けつまくしかんしょう

これは白目の表面を覆っている結膜と呼ばれる膜に張りがなくなり、たるんでしまった状態を言います。中年以降に多い疾患です。

たるんだ結膜は、まばたきのたびに刺激になったり、涙が目の表面に広がる邪魔になったりするので、異物感や目がしょぼしょぼするといった症状が起こります。また、たるんだ結膜が下まぶたの縁の涙が貯まるスペースを埋めたり、涙点を塞いだりすることで流涙が起きることもあります。結膜弛緩症があると結膜下出血を起こしやすくなることも知られています。

1.原因

結膜弛緩症は主に加齢によって生じます。コンタクトレンズ装用や目をこすることも原因の一つであるといわれています。なぜ加齢で結膜がたるんでくるのかは、よくわかっていません。

2.治療

症状がない場合は治療の必要はありません。

異物感や流涙の症状が強い場合は手術を行うことがあります。手術には弛緩した結膜を切り取る方法、焼灼する方法、ぴんと張るように縫い付ける方法があります。

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目に傷がついている

目の表面、特に角膜に傷がつくと、異物感や痛みが生じます。

角膜の三叉神経は非常に繊細なので、少し傷がついただけでも敏感に反応してしまう方もいます。強い痛みを感じ、目が開けられなくなったり、涙が止まらなくなったりすることもあります。

1.原因

角膜に傷がつく原因はさまざまです。

目をこすったり、目に物が当たったりして傷つくこともあれば、ドライアイや結膜異物、逆さまつ毛などで傷つくこともあります。

2.治療

角膜の傷はすぐに治癒します。ただし細菌感染を起こすことがあり、その場合は早急な治療が必要になります。できるだけ早く眼科受診をして治療を受けましょう。

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