目やにが出る原因は?よくある病気とは

目やにとは何でしょうか?

目やには、正式には「眼脂がんし」といいます。皮膚でいうところのあかのようなものと考えてください。朝起きたときに目頭めがしら目尻めじりについている少量の目やには、正常な代謝活動でできた老廃物です。

細菌やウイルスなどが目に付いたときにも、免疫反応の結果として目やにが出ます。これは体内の白血球が異物を取り込んで闘った跡です。そのため目やにの中には、細菌やウイルス、白血球などが含まれています。通常より量が多かったり性状が変わったりした場合は、病気のサインの可能性があるので見逃さないことが大切です。

目やにが出る病気で一番多いのは結膜炎です。結膜炎にはウイルス性、アレルギー性、細菌性の3種類があります。ウイルスの感染が原因の場合は、サラサラした水状の目やにやネバネバと糸を引いたような目やにが出ます。花粉症などのアレルギーが原因の場合でもネバネバとした目やにが出ます。細菌の感染が原因の場合は、黄緑色でドロっとした膿状の目やにが出ます。

ここでは眼科外来でよく遭遇する3種類の結膜炎について見ていきます。

流行性角結膜炎りゅうこうせいかくけつまくえん

ウイルス性結膜炎のなかで代表的なのは流行性角結膜炎です。アデノウイルスによる疾患で、目やにや涙を介して接触感染していきます。潜伏期間せんぷくきかんは1~2週間程度で、充血や目やにで急に発症し、流涙りゅうるい眼瞼がんけん浮腫ふしゅ耳前じぜんリンパ節の腫脹しゅちょうを伴います。角膜にまで炎症が及ぶと、かすんで見える症状が出てきます。

感染力が非常に強いので両眼に感染しやすく、また周りの人にも移っていきます。目やにが出ている間は学校に登校したり、人と接する職場や衛生的な環境を必要とする職場で仕事をしたりしてはいけません。

1.原因

アデノウイルスの感染によります。患者の目やにや涙からの接触感染です。アデノウイルスを検出する診断キットで陽性反応が出ると確定診断となりますが、感度は70%程度と言われており陰性でも安心はできません。

2.治療

アデノウイルスに有効な薬剤はありません。対症療法として抗炎症薬と抗菌薬の点眼を行います。抗菌薬はウイルスには効きませんが、細菌との混合感染を防ぐために行います。抗炎症薬は、特に角膜まで炎症が及んだ場合には視力障害を起こすことがあるので積極的に使用します。

多くの場合、流行性角結膜炎は2週間前後で治ります。

3.生活上の注意点

アデノウイルスによる角結膜炎では目やにや涙、分泌物が他の人への感染源になります。

なるべく目の周りに触れないようにして下さい。目を拭いたティッシュなどはすぐに捨てましょう。

学校保健安全法では目の赤いうちは登校、登園禁止です。目の赤みが引いてからもう一度眼科を受診して登校、登園許可をもらいましょう。

以下のことに注意して人にうつさないようにして下さい。

ご家族を含めて手洗いを徹底しましょう。
お風呂や洗面台でのタオルの使い回しはしないで下さい。ご自分専用のタオルを使いましょう。
お風呂はなるべく最後に入るようにしましょう。感染予防のためです。
目が赤いうちはなるべく外を出歩かないようにしましょう。

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アレルギー性結膜炎せいけつまくえん

アレルゲンによって引き起こされる免疫反応で生じ、結膜に増殖性変化ぞうしょくせいへんかを認めない結膜炎のことをアレルギー性結膜炎と呼びます。一般的な花粉症で起こる目の炎症はこのアレルギー性結膜炎です。症状としては目のかゆみ、充血、目やにがみられます。目やにの性状はネバネバしています。

1.原因

免疫反応の原因となる物質のことをアレルゲンと呼びます。ダニやほこりなどのハウスダスト、スギ・ヒノキなどの花粉が代表的ですが、自分の体のものではないものはすべてアレルゲンになりえます。 自分が何に対するアレルギーを持っているかは病院やクリニックで行っている血液検査で分かります。症状のある方は受診しましょう。

2.治療

アレルゲンになっている物質との接触をできるだけ避けることと、抗アレルギー点眼薬による治療が大切です。重症例ではステロイドや免疫抑制剤の点眼による治療が必要になります。

アレルゲンをできるだけ避けることはアレルギー対策の基本です。まずは自分がどのようなアレルゲンに反応しているのかを知ることが必要です。これは病院やクリニックで行っている血液検査で調べることができます。

しかし原因が分かっても、ハウスダストや花粉などの場合は完全に避けることはできないので、アレルギー反応に対しては対症療法を行うのが一般的です。

最近になって、スギ花粉症に対する舌下免疫療法ぜっかめんえきりょうほうという新しい治療法が登場しました。スギ花粉を少しずつ体内に取り入れることで、徐々に体に慣れさせようという方法です。この治療法は最低2年間、毎日必ず1回行う必要があります。

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細菌性結膜炎さいきんせいけつまくえん

充血や目やに、目のごろごろ感などの症状が現れます。細菌に感染して起こる目やにはドロドロしてうみのようなイメージです。感染力は強くありませんが、高齢者などでは慢性化することがあります。

1.原因

細菌感染が原因です。原因となる菌には、黄色ブドウ球菌や肺炎球菌、インフルエンザ菌などがあります。

黄色ブドウ球菌は大人の結膜炎でよく見られます。入院中の高齢者やステロイド使用者などからはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出されることがあり、注意が必要です。

肺炎球菌とインフルエンザ菌は乳児期や学童期にかかりやすく、また冬に多くみられます。風邪に伴って起こることもあります。

2.治療

通常は、抗菌薬の点眼を行うと1週間前後でよくなります。

点眼時の注意ですが、目やにの中には細菌がいるため、目薬をさす際は目薬の先がまぶたにくっつかないようにして下さい。目薬の中に目やにや菌が入り込み、繁殖してしまうことがあります。点眼のときは必ず目と距離をとりましょう。

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